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 - トランシットと方向観測法 -
 
トランシット(セオドライト)
 
 ◆ トランシット と セオドライト ◆

 トランシットとは、「望遠鏡が水平方向に回転するもの」を言い、アメリカで発達したもの。これに対してセオドライトは、「精度を優先して、望遠鏡が水平方向に回転しないもの」を言い、ヨーロッパで発達したものである。

 その後、両器械とも水平方向に回転するようになり、バーニア読みをするものを「トランシット」、マイクロメータ読みをするものを「セオドライト」と呼ぶようになった。

 現在においてメーカーでは、その呼称を「セオドライト」に統一しているようであるが、技術者は「その教育を受けたときの名称」を使っているのが一般的であり、個人的な感想ではあるが、「トランシット」派が多いように思われる。


 トランシット(セオドライト)の各部の名称は写真の通りである。




 ケース格納時
 写真で見る測量器械 方向観測法 トランシット(セオドライト)
 
 写真で見る測量器械 方向観測法 トランシット(セオドライト)




写真で見る測量器械 方向観測法 トランシット(セオドライト)

写真は、ソキア DT5S (2級 経緯儀)

写真で見る測量器械 方向観測法 トランシット(セオドライト)
※写真をクリックすると拡大します。※






方向観測法による水平角の観測作業
 
 「方向観測法による水平角の観測作業」は、士補試験に出題される問題の中でも、理解し難い問題の一つと言われています。ここでは、模擬的な方向観測作業と野帳の書き方を見ることにより、少しでも理解しでもらう事を目的としています。

 ◆ 目標1〜3を次のように観測すると仮定します。

写真で見る測量器械 方向観測法 トランシット(セオドライト)

◆ 望遠鏡で"目標1"を視準し、角度を0°0′0″にセットします。
 
写真で見る測量器械 方向観測法 トランシット(セオドライト)  写真で見る測量器械 方向観測法 トランシット(セオドライト) 
 トランシットの望遠鏡を目標1に向けます。
望遠鏡固定つまみが接眼レンズ側に来るのが正(r)です。
 望遠鏡を見るとこのように見えます。
 写真で見る測量器械 方向観測法 トランシット(セオドライト) ここまでの野帳(データシート)は、
次のように書きます。
 
 水平角を0°に合わせます。
Vは鉛直角を表しています。

◆ 望遠鏡で"目標2"を視準し、正(r)の観測を行い、角度を読みます。

   写真で見る測量器械 方向観測法 トランシット(セオドライト)
 トランシットの望遠鏡を目標2に向けます。  望遠鏡を見るとこのように見えます。
写真で見る測量器械 方向観測法 トランシット(セオドライト)  ここまでの野帳(データシート)は、
次のように書きます。
 
 水平角を読取ります。

 
◆ 望遠鏡で"目標3"を視準し、正(r)の観測を行い、角度を読みます。
 
 写真で見る測量器械 方向観測法 トランシット(セオドライト)  写真で見る測量器械 方向観測法 トランシット(セオドライト)
 トランシットの望遠鏡を目標3に向けます。  望遠鏡を見るとこのように見えます。
写真で見る測量器械 方向観測法 トランシット(セオドライト)  ここまでの野帳(データシート)は、
次のように書きます。
 
 水平角を読取ります。

◆ 望遠鏡を 正(r )から 反(l) にします

写真で見る測量器械 方向観測法 トランシット(セオドライト)  写真で見る測量器械 方向観測法 トランシット(セオドライト) 写真で見る測量器械 方向観測法 トランシット(セオドライト)
 "目標3"を視準した後、望遠鏡を回転させます。
今まで、接眼レンズが手前だったのが、対物レンズが手前に来たのがわかります。
 写真で見る測量器械 方向観測法 トランシット(セオドライト) 写真で見る測量器械 方向観測法 トランシット(セオドライト)
望遠鏡の回転は固定ネジを用います。 この時、水平角(H) は変わりません。

◆ 望遠鏡を反(r) にした状態で、目標3を視準します。
 
 写真で見る測量器械 方向観測法 トランシット(セオドライト) 写真で見る測量器械 方向観測法 トランシット(セオドライト) 
 トランシットを水平方向に回転させ、
望遠鏡で目標3を視準します。

望遠鏡固定ネジは反対側となり見えません。
水平方向への回転は、
水平固定ネジみを用います。
 
写真で見る測量器械 方向観測法 トランシット(セオドライト) ここまでの野帳(データシート)は、
次のように書きます。
 
 この時の水平角(H) の値は、
126°41′50″に 180°を加えた値となります。

(5″のズレがあります)

◆ 望遠鏡を反にした状態で、目標2を視準します。
 
 写真で見る測量器械 方向観測法 トランシット(セオドライト) 写真で見る測量器械 方向観測法 トランシット(セオドライト)  ここまでの野帳(データシート)は、次のように書きます。 
目標2を視準します。  この時の水平角(H) の値は、
306°41′55″から減って行きます。
(角度を左回りに測るため)

◆ 望遠鏡を反にした状態で、目標1を視準します。

 写真で見る測量器械 方向観測法 トランシット(セオドライト) 写真で見る測量器械 方向観測法 トランシット(セオドライト)  ここまでの野帳(データシート)は、次のように書きます。 
目標1を視準します。  この時の水平角(H) の値は、
180°00′00″に近くなります。
(写真は丁度になりました)

◆ 完成した野帳

目盛 望遠鏡  番号 視準点 観測角  計算  結果 
 0° 正(r)  目標1 0°00′00″ 0°00′00″ 
    目標2 97°52′45″    97°52′45"−
0°00′00"
 
97°52′45″ 
    目標3 126°41′50″   126°41′50" −
0°00′00″
126°41′50″ 
   反(l) 目標3  306°41′55″   306°41′55″−
180°00′00″
 126°41′55″ 
     2 目標2  277°52′45″   277°52′45″−
180°00′00″
 97°52′45″
     1 目標1  180°00′00″   180°00′00″−
180°00′00″
 0°00′00″

 完成した野帳は、上の通りとなります。ここまでの観測作業は、望遠鏡 正と反 を1回ずつ行っているため、「正反1対回」と言います。

 士補試験では、この後、倍角や較差を求めさせることが多く、さらには倍角差や観測差を求め、定められた許容範囲と比較させることもあります。

 角度の値は、正と反の値を平均することによって求めることができます。



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