H22年度 測量士補試験 No4〜No8 基準点測量:解答
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No4:基準点測量:解答>

 
   解 答

 GPS機器を用いた基準点測量に関する問題である。H17年度あたりから、基準点測量に沿った選択肢が目立つようになったが、その問題内容は決して難しいものではなく、GPS測量機に関する基礎的事項とこれを用いた観測作業の内容や注意事項に関するものである。

定番ともいえる問題であるため、過去問をしっかりと理解し、正答を導けるようにしておきたい。

 

以下、各選択肢について解説する。

1.    間違い
 スタティック法及び、短縮スタティック法による基線解析では、原則としてPCV補正※を行う必要がある。
 従来は、「同一セッション、同一機種」が原則であったGPS測量であるが、電子基準点等の利用が進み、異機種間のデータ解析を行う必要が出てきた。そこで、現在ではPCV補正を行う事により、異機種間のアンテナ位相特性を吸収し精度確保ができるようにしたものである。
※PCV(Phase Center Variation):アンテナ位相特性とも呼ばれる。エポック(干渉測位でのデータ取得間隔)ごとにGPS衛星からの電波の入射角に応じて受信位置が変化すること。これを補正する事をPCV補正と呼ぶ。従来はアンテナ定数による補正を行っていた。

2.    正しい。
 スタティック法は、GPS基準点測量の中でも最も高い精度を得られる手法であり、14級基準点測量に用いる事ができる。
 問題文のように、観測距離が10qを超える場合は、1GPS測量機により受信衛星数を5個以上使用し、120分以上の観測を行う。また、1GPS測量機が使用できない場合は、節点を設けて観測距離を10q以下にする必要がある。問題文にある、2周波を受信する事ができるGPS測量機とは、1GPS測量機の事である(以下参照)。
1GPS測量機:L1周波数帯(L1帯)とL2周波数帯(L2帯)の電波を同時に受信可能。
2GPS測量機:L1帯のみを受信する

3.    正しい。
 GPS観測では、片寄った配置のGPS衛星を使用すると精度が低下するため、事前に衛星配置を飛来情報で確認する必要がある。
 
GPS衛星の配置状況は、DOPDilution of Precision:精度低下率)という数値で表され、最も良い配置で1を、数字が大きくなるにつれて悪い配置を表すようになっている。一般的に DOPは5程度までは観測上支障がない。
 GPS測量機によりスタティック法で基準点測量を実施するためには、4個以上のGPS衛星からの電波を同時に受信する必要がある。このため、5個以上の衛星から、同時に電波が受信できる場合には、GPS受信機が自動的に最も精度が良い配置となる衛星の組合せを選び受信するようになっている。

4.    正しい。
電子基準点のデータは、メンテナンス等でその運用(データ配信)を停止している場合がある。観測計画を立てる際には、使用予定の電子基準点の稼働状況やデータ配信の状況をあらかじめ確認する必要がある。また、電子基準点の稼働状況及び観測データは、国土地理院のHP上で確認できる。

5.    正しい。
 GPS測量は衛星からの電波を受信して行われる。このため、GPS観測中はアンテナの近くに無線機、携帯電話などの機器を近づけると、電波障害を引起す恐れがある。このため、観測中はこれらの使用を控えるか、十分に離して使用する必要がある。また、同様に電波発信源近くでの観測も避ける必要がある。

 

よって、明らかに間違っているのは、1である。

 

解答:1



No5:基準点測量:解答>


   解 答

 座標計算に関する問題である。特に測量の知識を必要とするものではないが、座標軸(X,Y)が数学座標と逆であることに注意する必要がある。また、今回初めてZ方向の座標(高さ)が与えられ、座標空間の計算が要求された。内容としては難しいものではなく、三平方の定理(ピタゴラスの定理)を用いて丁寧に解いて行けばよい。


 まず、問題文を図に描くと次のようになる。

 

  

次に三平方の定理を用いて、座標平面上のB−C間の距離を求める。

 


 


最後に、凾yの高低差とB−C間の座標平面上の距離を用いて、B−C間の斜距離を求める。



よって、B−C間の斜距離は、877.496mとなる。

解答:3



No6基準点測量:解答>


   解 答

 トータルステーション(以下TS)とデータコレクタ(以下DC)の特徴に関する問題である。ここしばらくの出題は無かったが、出題内容(選択肢)はH18とほぼ同じであり、簡単に解ける問題である。

 以下、各選択肢について解説する。

 

 1.   正しい。
TSとは、光波測距儀と電子セオドライトの機能を併せ持つ測量器械である。これにより、1回の視準で、水平角、鉛直角、斜距離(距離)を同時に観測することができる。

2.   正しい。
TSでは、あらかじめ気温や気圧などの気象要素を入力することにより、器械内部の計算により、(気象)補正された値を表示することができる。

3.   正しい。
データコレクタに記録されたデータは、不意のトラブルによるデータの紛失を防ぐために、観測者が覚えやすい一定の作業の区切りなどにより、適宜他の記録媒体などにバックアップを取っておくことが望ましい。

4.   正しい。
TSにあらかじめ定められた許容範囲を設定すると自動的に点検ができるため、観測データの良否をその場で確認でき、再測すべきか否かの判断が簡単に行える。

5.   間違い。
データコレクタに一度保存された測量データは、その測量の品質を保証するために、簡単に修正や削除が行えないようになっている。(行ってはならない)

 よって、明らかに間違っている選択肢は、5となる。

 

解答:5



No7基準点測量:解答>


   解 答

 基準点成果情報(表)に関する問題である。前問同様に、ここしばらくの出題は無かったが、出題内容はH18とほぼ同じであり、簡単に解ける問題である。縮尺係数を計算により求めずとも、解答導き出せる。

問題の ア〜ウ について考えると、次のようになる。

 

<ア・イ>

 成果情報にある三角点の経緯度と、平面直角座標系(\系)の座標原点の経緯度を比較すると、緯度はマイナス方向、経度はプラス方向に位置している※ことがわかる。よって、アには「−」、イには「+」の符号が入る。

※緯度:原点座標より、南側に位置している。(緯度(北緯)は北極で90°)

 経度:原点座標より、東側に位置している。(経度(東経)は左回りで増加)

 

 

<ウ>

 任意地点の縮尺係数は、次の式により求めることができる。

m =m+ (Y2・m

ここで、mは任意地点の縮尺係数、YはY座標値(km単位)、Rは地球の半径(6,370km)、mは、0.9999よ って、

m = 0.9999 + {14.5 /(2×6370×0.9999)} ≒ 0.999903

 この三角点の縮尺係数は、0.999903となる。

 

   無理に計算を行わなくとも、答えを導くだけならば次のように考えればよい。
まず、ア・イにより座標値の符合がわかっているので、ここで選択肢を3か4に絞り込むことができる。
次に、互いの縮尺係数を見ると、「1」より大きいものが3、小さいものが4の選択肢である。
平面直角座標系は、座標原点から90km離れた地点で縮尺係数1.0000であるため、座標原点から約14kmしか離れていないこの三角点の縮尺係数が、「1」を超えることは無い。よって、消去法で選択肢「4」が残る。

解答:4



No8基準点測量:解答>


   解 答

 

 偏心補正計算(余弦定理)の計算問題である。二辺夾(きょう)角による計算とも呼ばれる。

 次のように、余弦定理を用いて偏心点に対向する辺の長さを求めればよい。

 

余弦定理(第二法則)を以下に示す。

 

 左の三角形ABCにおいて、次の関係が成り立つ。

 

 

 

 問題の図から、余弦定理を用いて式を組み立てると、次のようになる。

 

この式に数値を代入する。

 

 

 

 よって、距離Sは、3の 854m となる。

 

解答:3


参考文献:測量作業規程の準則・測量関係法令集

http://www.kinomise.com/sokuryo/ 測量士・測量士補 試験対策WEB

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